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金木犀

by Ryota Nagashima

今年は堂々と金木犀の香りを嗅ぐこともできないなぁと思いながらも、周りを確認しては、夜道でこっそりマスクを外して楽しんでいた。

すれ違う人は香りにはあまり気を留めない様子で、

相変わらずマスクを付けたままだから、

結局、いつもよりも金木犀を独り占めできた気分がした。

そんな数日間を過ごしていたのだけれど、

先日の長雨で金木犀の花は散っていった。

気のせいかな。今年は例年に比べて咲いてから散るまでが早かった気がする。

秋の訪れを感じさせる芳醇な香りは、すでに街から消え去って、私の"香り"の記憶も徐々に薄れていく。

それから数日経って、ふと、

地面に散らばった花々を見ていたら、記憶の中でかすかに金木犀の香りを感じた。

それは、芳醇というよりはむしろ、すっと抜ける香りで、とても心地が良いものだった。

散った花を見て香りを思い出すことも、

徐々に薄れていく記憶が生み出す香りが良いことも、

これまで気づいたことがなかった。

メモ程度の文章だけど、つい嬉しくなったので残しておきます。

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