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強さ

by Ryota Nagashima

時々、あの人になりたいって思うことがある。

それは仕草や身体といったものではなくて、その人自身が考えていることや見ている世界を知りたいという、もっと人間のうちの部分を理解したいっていう感情。

そしてこの感情は、好きになった目の前の人に対して生まれるものではなく、もっと遠くの、例えば、いまこの瞬間にも、自らの当たり前の権利のために声を上げ続けている人びとや、なんらかの原因から命を経ってしまった人びとに対するものなのだ。

「事実」と「真実」は違うということを、多くの人は言葉の違いとしてしか理解していないのではないかと思うよ。目に見えていることが全てではないし、目に見えないことがあるって理解するだけでは足りなくて。当事者ですら、まだ認識できていない真実もあるとするならば、僕らは何を見て、どのように考えたらいいのだろうか。

そんなことを考えているうちに、あの人になりたいって気持ちが、お腹のちょっと上、みぞおちのあたりから、ふつふつと湧き上がってくるのだ。

聞いて、咀嚼して、まとまらなくて、もやもやとして、行き場のない感情は僕らの中で渦を巻く。結局、答えは分からなくて、なにものでも無い自分が残るのだろう。

"なにものでも無い自分"を受け入れられるくらいの強さが、僕が会ったこともない、あの人にもあったらと願う。

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