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「心」が動く

by Ryota Nagashima

自分の心が動くのはどういう時なんだろうと旅をしながら考えていて。
これは旅の中のひとつのテーマだ。

まあそんな大きな話でもなくて、
自分が興味や関心を感じるものって何かを知って、それがたくさんあったら楽しいじゃん!ってことです。
この「心が動く」という事を考えるようになったのは所属していた大学サッカー部の理念が「心動」というものであって、
人の心を動かし、そして自分の心が動くようなサッカーをすることを目標に4年間過ごしてきたから。
そのおかげで実際に多くの「心動」が生まれ、自分の人生においてとても大切な言葉の1つになった。

「心動」を求めて旅を続けている。
そんな中で、自分の心が動く瞬間としてこうではないかという1つの仮定が生まれた。
それは
「過去の原体験や、奥底に眠っていた記憶との重なりを感じた時。」というもの。
ベトナムの首都ハノイからダナンへ夜行バスで向かっている最中だった。


いつのまにか眠っていて
時計を確認すると
夜中の12時が過ぎていた。
眠い目を擦りながら外を眺めると
しとしとと雨が降り注いでいた。
雨粒がバスの窓を滴り、
外の景色がぼやける。
車のライトや、街灯、建物の照明が
赤や黄色の光となって目に映る。

どうしてかその時、
懐かしい感情が自分の中に生まれた。
感動とはまた違った類の、
しかし心が動いた瞬間だった。
しばらくして今見ている景色が
子供の頃に眺めていた景色と
似ていることに気づく。
それは幼い頃に住んでいた
名古屋から横浜にある
祖父母の家に向かう途中、
後部座席で寝ていた自分が
目を覚ますと
外はすでに夜へと変わっていて、
高速道路の街灯の明かりが
目に入ってきて
祖父母の家がもう近いということが
感覚的に理解できる瞬間だ。
幼い頃は離れた祖父母の家に行く
というのが大きな一大イベントのように
感じられていて
それは楽しみにしていたものだ。
だから目を覚ました時に外が暗くなり
近づいていることがわかった時に、
眠さを感じつつも、
それ以上のわくわく感が込み上げていた。

幼い頃の体験を通して生まれた感情が、
夜行バスの窓に映る景色を眺めた時に再び蘇り、心が動くという体験をした。
おそらく雨だったことも大きい。雨によって霞む世界が2つの景色を重ねた。

その瞬間はもちろん気づかなかったし、こんな景色に何を思ってるんだと戸惑いすら感じた。
でも掘り下げて考えていったときにやがて気づくことになる。

「過去の原体験や、奥底に眠っていた記憶との重なりを感じた時。」

これはなかなか面白い気づきだ。

確かに、
日本にあるお寺とは全く違う外装の中で香る線香の匂いや、一面に広がる田んぼの緑に惹かれ、落ち着きを感じている自分がいる。それはこれまで自然と自分の周りにあった匂いや景色を意識的に感じ取れる瞬間なんだろう。

そんな仮定が生まれたことで最近はより、日本の文化について興味を持つようになった。「詫び」「寂び」「幽玄」といった日本の美意識や、昔からの人々の営み。
この仮定が正しければ、何も原体験に限らず、自分の根底にある(と思っている!)これらの理解を深めることで、より豊かに物事を感じられるようになるのではないかと思っている。

移りゆく感情を
「どうして、そう感じているのか?」
と考えることってあまりしないと思うのだけれど(忙しくてそれどころじゃないですよね笑)せっかくのこういう機会だからあえて向き合ってみている。

でも、難しいもので
心が動く体験がしたい!と狙いにいくとなかなかうまくいかない(笑)
偶発性から生まれる心の動きほど、
その感動は大きいから、旅は面白い。


Ryota Nagashima
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