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プーケットの海を眺めて

by Ryota Nagashima

日が沈む。
厚い雲に覆われた空。
夕日は見えず、静かに1日が終わろうとしている。
海と夕日の美しい景色を撮影しようと意気込み、ホテルから15分ほど歩いてきた僕は肩を落とす。
周りを見渡すとそれでも多くの人たちが地平線の先をただ眺めていた。
それは厚い雲の隙間から夕日が見える瞬間を待っているのかもしれないし、何か思いにふけっているのかもしれない。
とにかく何もせず、じっと海を眺めていた。

それからいくらか時間が過ぎて、
雲の隙間から夕日が見えた。
光が海に反射して、あたりは一瞬にして黄金色に染まる。

慌ててその景色を撮影しようとしてカメラを掴む。けれどシャッターを押す前に手を止めた。

周りに座って海を眺めていた人たちは、
夕日に染まって輝く海を、
それでもただじっと眺めていた。

もちろん夢中でシャッターを切る観光客の姿も目についたけれど、変わらず海を見つめている人たちの背中が美しく見えたから、
同じようにカメラを撮らずにただじっと海を見つめてみた。

いつからだろうか。
何かをしていないと不安に感じてしまうようになって、時間を埋めるために予定を入れて、結果として時間が足りないと思い続けてしまうのは。

少しずつでいい。
何もせずただ、海を眺める。
波の揺れや、雲の動き、そして変わっていく空と海の色を感じて楽しむ。

贅沢で豊かな時間を持つためには何も
忙しくないことが条件なんかじゃない。
心の持ち方が大事なんだと思う。
海外を旅していようが、日本で仕事をしていようが、ある時間の中で「何もしない時間」を作ってみる。
そうやって1日のうちで少しでも
時間を追いかけることをやめてみると、
すっと肩の力が抜けて
時間に引っ張られていた自分を元の位置に戻すことができるんじゃないだろうか。

そんなことを考えながら、
帰り際に何度かシャッターを切ってからビーチを後にした。


Ryota Nagashima
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